AfterShokz Aeropex レビュー
骨伝導ワイヤレスヘッドホンは驚きの高音質

巷では完全ワイヤレスイヤホンが流行っていますが、それとはまた違った良さを備えているのが「骨伝導方式」のイヤホンやヘッドホンです。骨伝導方式のパイオニアであるAfterShokz社から2019年に販売されたフラッグシップモデル『AfterShokz Aeropex』を使ってみました。
この製品は、
- 非常に軽い
- 耳を塞がないので不快感が無く、周りの音が聞こえる
- クリアな音質
といった特徴があります。使い勝手や、実際に使って感じた感想、気になる音質や音漏れ具合などについてレビューしていきます。
本記事はメーカー様からサンプル品を頂戴し、作成しています。
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AfterShokz Aeropex(エアロペクス)とは?
AfterShokz(アフターショックス)から販売されている「骨伝導方式」を採用したBluetoothワイヤレスヘッドホンです。
AfterShokzは、2011年アメリカのニューヨークで誕生したメーカー。いち早くヘッドホン骨伝導技術を取り入れ、それ以来骨伝導ヘッドホンのパイオニアとして高い品質のヘッドホンを作り続けています。
そんなAfterShokzが手掛ける骨伝導ヘッドホンの最新モデルが『AfterShokz Aeropex(エアロペクス)』。前モデルである『AfterShokz Air』から以下の点が強化されています。
- 全体のサイズを30%小型化
- 13%の軽量化
- 50%の音漏れ減少
以上の様に、全体的なサイズを抑え、軽量化にも成功するなどフラッグシップモデルに相応しい改良がなされています。
骨伝導方式とは?
「骨伝導」とは、その名の通り「骨」を通して直接聴覚神経に音を届ける技術です。骨を通して音を聴くので、通常のイヤホンより鼓膜への負担が少ないと言われています。
また耳を塞がないので、周囲の音を聞き取ることが出来ます。スポーツや何かの作業をしている時など、周囲の音を取り入れながら、BGM感覚で音楽を聴くことが可能です。
AfterShokz Aeropexのスペック
それでは、『AfterShokz Aeropex』のスペックを見ていきます。
AfterShokz AEROPEX | |
---|---|
型番 | AS800 |
Bluetooth | 5.0 |
対応コーデック | SBC |
再生時間 | 約8時間 |
バッテリー容量 | 145mAh |
充電端子 | マグネット方式 |
充電時間 | 約2時間 |
サイズ | 約13.5×9.36×16.9cm |
重量 | 26g |
防塵防水性能 | IP67 ※完全防塵かつ水深1mに30分水没しても内部に浸水しない |
注目すべき点としては、重量が26gと超軽量ながら、再生時間が8時間という所。巷のワイヤレスイヤホンなどは再生時間が4〜5時間程度の製品が多い中、『AfterShokz Aeropex』は頭一つ抜けた8時間となっており、長時間の再生が可能。
また、防水機能は「IP67」。これは「完全防塵」かつ「水深1mで約30分間の水没にも耐えられる」といった性能を備えています。ちょっとした雨の中くらいならばもちろん問題ありませんし、プールでも問題なく使えるようです。
遅延や音質を左右するBluetoothのコーデックは「SBC」のみ対応。「SBC」だから絶対に音が悪いというわけではありませんが、一般的にはiPhoneであれば「AAC」、Androidであれば「aptX」に対応している方が有利と言われています。
AfterShokz Aeropexのパッケージや付属品など
それでは、『AfterShokz Aeropex』のパッケージや付属品を見ていきます。
パッケージ

パッケージからカッコいいですね。
『AfterShokz Aeropex』は日本国内のオーディオビジュアル総合アワード「VGP2020」の骨伝導ヘッドホン部門で金賞を受賞。また2019年グッドデザイン賞を受賞するなど、デザイン面・音質面で各所から高い評価を得ています。

パッケージ背面はシンプルでスマートなデザイン。
パッケージを開封

パッケージを開封していきます。

パッケージ外側を取ると、中に「AfterShokz」のロゴが。シンプルで上品なデザインとなっており、期待が高まります。

パッケージ側面にある「BE OPEN」から開いていくと、

シンプルな外面から一変グラフィカルなデザインへ。

『AfterShokz Aeropex』を付けてランニングしている様子が現れます。いやーオシャレですね!

「BE OPEN」を開くと、『AfterShokz Aeropex』本体と、アクセサリー類が収納されています。
パッケージは全体的にオシャレで、開ける時のワクワク感を演出してくれます。ここまで凝ったパッケージってあまり無いので、メーカーの拘りが感じられる素晴らしいパッケージデザインでした。
付属品

それでは、付属品を見ていきます。

付属品類は専用のラバーケースに収められています。ラバーケースのフタにはマグネットが付いており、開閉も非常に楽。

わざわざラバーケース収納するなど、ここまで丁寧に付属品を収納している製品をあまり見たことがありません。非常にコストかかってそうです。

付属品は、
- AfterShokz Aeropex 本体 1台
- 付属品収納ラバーケース 1個
- 充電専用マグネットケーブル 2本
- 耳栓 1セット
- 製品保証書
- ユーザーガイド
- 安全上の注意
- ペアリング設定方法ガイド
が付属していました。
「ユーザーガイド」や「安全上の注意」は、日本語を含む12ヶ国語に対応しているので、誰が使っても安心。
専用のマグネット充電ケーブル

『AfterShokz Aeropex』の充電ケーブルは、先端がマグネット式になった専用のケーブルが付属してきます。

ケーブル先端の、この部分がマグネットになっています。

本体に、マグネット端子があるので、ここにピタッとくっつけて固定させます。

ポンと付けるだけなので、着脱は普通のUSBケーブルなどと比べて非常に楽です。こういったマグネットで固定する方式は、AppleがMagSafe端子として、MacBookで採用していましたね。それと同じ仕組みです。
ただ、基本的に専用ケーブルって無くした時や壊れた時に替えがきかないので、一長一短な面もありますが、マグネット式はやはり使い勝手が非常に良く、メリットが大きいように感じます。
『AfterShokz Aeropex』の場合、充電ケーブルが2本付属してくる上に、2本ともなくしたとしてもAmazonで充電ケーブルのみ販売されているので、安心感があります。
AfterShokz Aeropex本体のデザインやサイズ感
それでは、『AfterShokz Aeropex』本体のデザインやサイズ感を見ていきます。

本体のフォルムは全体的に細くシャープな印象。流石グッドデザイン賞を受賞しているだけあって、デザインはカッコいいですね。

本体右側には、マグネット充電用の端子と、電源・音量調整ボタンがあります。

本体左側にはボタンが一つ。このボタンは「マルチボタン」と呼ばれており、このボタン一つで曲の再生・停止やかかってきた電話に出ることが可能。

本体サイズは、「13.5×9.36×16.9cm」となっています。全体的に細いフォルムな為か、数字以上にコンパクトな印象を受けます。
参考までにiPhone12miniとの大きさを比較してみます。「ヘッドホン」としてはかなりコンパクトなのではないでしょうか。

そして驚異的なのがやはり重量。実測で25.6gでした。
実際に持ってみてもかなり軽く、ヘッドホンとして考えると本当に驚異的な軽さ。これだけ軽いので、長時間装着していても疲れづらそうです。
AfterShokz Aeropexを実際に使ってみる
それでは、『AfterShokz Aeropex』を実際に使ってみます。
まずはペアリング

Bluetoothヘッドホンなので、まずは端末とペアリングします。ペアリングの方法は「電源OFFの状態で+ボタンを5秒以上押す」とペアリング待機状態になるので、接続したい端末とペアリングさせます。
丁寧に「ペアリング設定方法」と書かれたカードが付属しているので、これを見れば問題なく操作は出来ると思います。
海外製品は日本語のマニュアル類が簡素な事が多く、使うのに多少手間取ることもあるのですが、『AfterShokz Aeropex』の日本語対応はまさに「至れり尽くせり」と言えるくらいに丁寧で驚きます。

マニュアル通りに「+ボタン」を長押ししてペアリング待機状態にします。


iPhoneでペアリングしてみました。ペアリング自体は一般的なBluetooth機器と一緒ではありますが、マニュアルのおかげで迷うこと無く操作が出来ました。
AfterShokz Aeropexを付けてみます

実際に『AfterShokz Aeropex』を付けてみた様子です。最初にやはり「軽っ!」と思いました。
これを付けたまま、しばらく音楽を聞きながら作業をしてみましたが、集中している時はヘッドホンをしているのを忘れるほどです。26gという重量は流石に軽いですね。
フィット感もバツグンで、多少頭を振った程度ではズレることはありません。これならば普段の作業はもちろん、スポーツ中でもストレスなく使えそうです。
耳を塞いでいないので、長時間のリスニングでも耳への負担が少ないのも特徴。僕はAirPodsProを使うこともあるのですが、流石に長時間付けていると耳が痛くなってきたり、耳が疲れてくるのですが、この『AfterShokz Aeropex』は、長時間のリスニングでも疲れる事が少なく感じました。
もちろん耳を塞いでいないので、周りの音も聞こえます。この感覚は今までのヘッドホンやイヤホンでは味わったことのない非常に不思議な感覚。ながら作業のお供としては『AfterShokz Aeropex』は最適解なのではないかと思うほどです。

音声ガイドが全て日本語
電源を入れる時には、「アフターショックスへようこそ」、ペアリングモードに入る時は「ペアリングモードです」などと、全て日本語の音声でガイドしてくれます。
こういった海外製品では、音声ガイドは付いていても英語しかない事が多いので、こういった細かい点までちゃんと日本語対応されているのは素直に驚きました。
AfterShokz Aeropexの操作方法
『AfterShokz Aeropex』全体の操作は、本体左にある「マルチボタン」と、右にある「電源/音量ボタン」で行います。
マルチボタン

一回押し | 音楽再生/停止 |
---|---|
音楽再生時2回押し | 次の曲にスキップ |
音楽再生時3回押し | 前の曲にスキップ |
着信時1回押し | 電話に出る |
通話中1回押し | 電話を切る |
通話中2秒間長押し | 現在の通話を切って2つ目の着信に出る |
着信時2秒間長押し | 通話を拒否する |
2秒間長押し | 音声ダイヤル |
音楽停止時2回押し | 最後に発信した番号にリダイヤル |
電源/音量ボタン

音量+ボタンを2秒間長押し | 電源オン |
---|---|
電源ボタンを3秒間長押し | 電源オフ |
通話時に電源/音量ボタンを2秒間長押し | 音声ミュート |
音楽再生時に電源/音量ボタンを3秒間長押し | イコライザー切り替え |
音楽再生時にいずれかのボタンを1回押し | バッテリー残量チェック |
音楽再生時に音量ボタンを1回押し | 音量調整 |
となっています。
マルチポイントペアリングが超便利!

『AfterShokz Aeropex』は、「マルチポイントペアリング」機能により2台のデバイスに同時に接続できます。
僕の場合、MacとiPhoneの2台を同時にペアリングしています。この機能の凄いところは、Macで音楽を聴いている時に、ふとスマホでゲームがしたくなったら、Macの音を一旦止め、そのままプレイすれば、自動的にスマホの音源に切り替わってくれるという点。いちいちペアリングし直す必要が無いので、快適そのもの。
AppleのAirPodsProがiOS14で、デバイス間の自動切り替えに対応して話題となりましたが、それと同じ様な事が『AfterShokz AEROPEX』でも可能です。
AfterShokz Aeropexの音質
音質はあくまで僕個人が感じた主観であるという事を断った上でレビューすると、
今まで「骨伝導ヘッドホン」というものを使った事が無く、実はそれほど期待はしていなかったのですが、見事に裏切られました。音質自体は非常に良いです。
特に中高音域に関してはメチャクチャクリア。抜けの良い曇りのない音が鳴ります。また思った以上に音に広がりがある印象。僕は中高音域がクリアな音が好きなので、かなり好みにあった音でした。
ただ、低音部分は「骨伝導」という性質のせいか、ちょっと薄いかなというのが正直な印象。中高音域がとても良いので、これで低音域も持ち上がってこれば全体的に素晴らしいバランスになると思いました。
ジャンルが違うので一概に比較は出来ませんが、数千円程度で売られているワイヤレスイヤホンよりは間違いなく音質は上だと思います。
骨伝導ならではの耳への振動は?
骨伝導方式は、耳に当てる部分に振動が伝わってむず痒く感じる事が多いと聞いていたのですが、『AfterShokz Aeropex』に関しては振動について改善されているらしく、実際に使っていてもそれほど振動を感じることはありません。
・・・が、音量や音楽のジャンルにもよるみたいで、ゴリゴリに低音が出ている曲を音量を上げて聞くと、流石に耳に振動が伝わってきてむず痒くなります。
その場合は、音量を抑えめにすればかなり振動が軽減されます。
付属してくる耳栓

『AfterShokz Aeropex』には耳栓が付属してきます。マニュアルには「耳栓とAeropexを一緒に使用することで、周りの騒音を拾わずに快適な環境で音楽を聴くことができます」とあります。
実際に耳栓をして音楽を聴いてみましたが、何もしないと水の中で音楽を聴いているような曇った音になります。その場合、音量調整ボタン2つを長押しして、イコライザー設定の変更をすると、普通に聴けるような音質に変わります。
ただ、個人的には耳栓するくらいだったらノイズキャンセリングイヤホンでもした方が良いのではないかなと思ったりしますw
AfterShokz Aeropexの音漏れ具合
「骨伝導ヘッドホン」は、一般的に音漏れが大きいと言われていますが、この『AfterShokz Aeropex』は、前モデル『AfterShokz Air』と比較して、50%音漏れが軽減されているとの事。
実際に使ってみても、音量をあげなければ音漏れは気にならないレベルでした。
部屋で使っている時、同じ部屋にいる人に「音漏れてる?」と聞いてみたのですが、「いや、別に」という回答だったので、ほどほどの音量であれば問題無さそう。ただ、音量をあげていくとやはり音漏れはしているみたいなので、使う場面によって音量調節は必要となります。
AfterShokz Aeropexの遅延具合
対応コーデックが「SBC」のみということで、遅延に関しては結構不利かなと思ってたのですが、遅延はかなり少ないです。
シビアに言うと遅延はしているのですが、ほぼ気にならないレベル。
幾つかスマホゲームをプレイしてみましたが、プレイ中遅延が気になる事はありませんでした。よほどタイミングがシビアな「音ゲー」でも無い限り、ゲームのプレイも問題なく出来そうです。
AfterShokz Aeropexのまとめ
- AfterShokz Aeropex のイマイチな点
- 低音はちょっと薄い
- 音量をあげていくと、振動が耳に伝わってきてむず痒い
- AfterShokz Aeropex の良い点
- 付けてるのを忘れるほどに軽量
- フィット感がバツグンで動いてもズレない
- 中高音域のクリアさが凄く、想像以上の音質
- 耳を塞がないので周囲の音が聞こえ、耳への負担も少ない
- IP67の防塵防水性能によって、濡れても問題なく使える
『AfterShokz Aeropex』は、骨伝導方式を採用して耳を塞がないのにクリアな音質を実現しているワイヤレスヘッドホンです。
実際に初めて骨伝導ヘッドホンを使ってみましたが、耳を塞がないので長時間付けていても疲れにくい上に、凄く軽いので、作業中なんかは付けていることを忘れてしまうほどでした。
フィット感も凄く全然ズレないので、多少激しい動きをしても問題ありません。
音質面でも非常に優秀。低音の薄さはあるものの、中高音域に関してはバツグンにクリアな音で、「骨伝導は音が悪い」と昔噂を耳にしたものですが、その印象を覆すほどに良い音でした。
何か作業をしながらでも、スポーツ時でも幅広いシーンで活躍してくれそうな『AfterShokz Aeropex』。特にランニングなどしながら音楽を楽しみたいという場合は、これがベストなのでは無いかと思うくらいにオススメできるヘッドホンです。
タップできる目次