
300円を中心にオシャレな雑貨を取り揃える3COINS(スリーコインズ)は、最近”スリコ家電”と呼ばれる家電製品やスマホ関連グッズが人気です。
そんな中でも特に人気なのが、1,500円で購入できる完全ワイヤレスイヤホン。その安さから累計で約70万個以上売れている大ヒット商品。
僕も実際に使ってみましたが、確かに価格は安いものの、音質面や安定性ではイマイチな点も多いと感じる製品でした。
今回そんなスリコから新製品として”高音質”という名前がついた『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』が販売開始。

従来モデルの倍となる3,000円という強気な価格設定ながら、高音質がどれほどのものなのか、気になって購入。
実際に使ってみた所、確かに音質は向上し、AACに対応した事で接続安定性は高くなりましたが、3,000円の価値があるのか?を考えると、うーん……と感じてしまうポイントもありました。
本記事では『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』の使い勝手や良い点や悪い点などを総合的にレビューしていきます。
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スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホンとは
スリーコインズから販売されている「完全ワイヤレスイヤホン」です。
「完全」ワイヤレスなので、イヤホンにケーブルが無く使い勝手が良いのが特徴で、最近では様々なメーカーから完全ワイヤレスイヤホンが販売され、今や完全にイヤホンの主流は「完全ワイヤレスイヤホン」となりました。
スリーコインズからも税込1,650円で購入できる『ワイヤレスステレオイヤホン』が販売されており、店頭で売り切れが続出するなど高い人気を誇っていましたが、今回の製品はそのワイヤレスイヤホンの上位モデルという位置づけで「コーデックにAACを採用」「高音質」といった音質面での強化がアピールされています。
価格も税込3,300円と通常モデルの倍と強気な価格設定となっており、スリーコインズ全製品の中でも最上位クラスに高い価格という事で、おのずと期待も高まる所です。
スペック
スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン | |
---|---|
品番 | TD-T19 |
Bluetooth | 5.0 |
対応コーデック | SBC/AAC |
連続再生時間 | イヤホン本体:約3.5時間 ケース充電込み:約38.5時間 |
バッテリー容量 | イヤホン本体:30mAh 充電ケース:1,200mAh |
充電時間 | イヤホン:約1時間 充電ケース:約3.5時間 |
充電端子 | MicroUSB |
出力 | 端子:USB-A 1ポート 定格:DC 5V/0.5A |
重量 | イヤホン本体:約15×38×21mm 充電ケース:約77×28×45mm |
カラー | ホワイト/ブラック |
材質 | ABS |
保証期間 | 6ヶ月 |
価格 | 3,300円(税込) |
『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』の特徴としては、やはりコーデックがAAC対応となったという点。
コーデックとは、Bluetoothで音声データを送る時の圧縮方式の事。対応コーデックにより音質と遅延に影響があり「SBC」はBluetoothで音声データを送る際の最も基本的なコーデックで、一般的には音質や遅延で不利とされています。
今回対応した「AAC」は、主にiPhoneで使われている「高音質・低遅延」なコーデックで「SBC」よりも音質が良く、遅延が少ないと言われており、主要なワイヤレスイヤホンは「AAC」に対応している製品が多くあります。
『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』は「AAC」に対応することで、よりiPhoneとの親和性が高くなったと言えそうです。(Androidの場合は端末によって対応コーデックが異なるので、AACに対応していない端末も存在します)
スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホンの開封と本体外観
『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』を開封してパッケージ内容や本体外観・サイズ感を確認していきます。


パッケージはこの様に【3COINS DEVICE】シリーズ共通のシンプルなデザイン。「高品質コーデックAAC対応」という記載が見えます。
背面には、細かい仕様が記載されています。


通常モデルである『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』の場合は、簡易的なブリスターパッケージに入っていたのに対し、『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』は、かなりしっかりとしたパッケージで、ちゃんとイヤホン本体をクッション素材で保護しています。


イヤホン本体と充電ケースの下には、付属品類が収められています。
『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』は、通常モデルと比較して明らかにパッケージにコストがかかっており、1段階上の価格帯であることを実感します。
パッケージ内容

- ワイヤレスイヤホン本体 1セット
- 充電ケース(クレードル) 1個
- イヤーパッド(S・M・L)各1セット
- 充電用マイクロUSBケーブル 1本
- 取扱説明書
パッケージ内容は上記の通りです。

充電用のマイクロUSBケーブルです。長さは30cmと短く、あくまで充電用としてしか使えなさそう。

『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』では、イヤーパッドが付属してきます。サイズはS・M・Lの3種類で、予めイヤホン本体にはMサイズが装着されていました。
通常モデルである『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』では、交換用イヤーパッドは付属していなかったので、この辺りは流石上位モデルと言った所でしょうか。

取扱説明書兼保証書です。通常モデルである『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』の説明書はもう少し簡素なものでしたが、本製品付属の説明書は使い方や仕様がかなり詳細に記載されています。
また、製品保証期間は6ヶ月となっており、こちらは通常モデルと変わらないようです。
本体外観・サイズ感
『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』の本体外観やサイズ感を見ていきます。まずは充電ケース(クレードル)から。

今回購入した色はホワイトですが、ブラックもあります。
乳白色の半透明な蓋が付いたケースで、全体的に少し丸みを帯びた長方形の形をしています。

ケースの蓋を開けた様子がこちら。イヤホン本体を収納する場所の他に、ケース上部にイヤホンと充電ケースの電池残量が確認できる表示パネルが付いています。
表示パネルの詳細は以下の通り。
- 左:L側イヤホン電池残量
- 中:クレードル電池残量
- 右:R側イヤホン電池残量
この表示パネルですが、個人的にはダサく感じてあまり好きではありません。電池残量はLEDで見れれば十分だし、何よりも何か古臭いというか、安っぽいというか・・・デザイン的には無いほうが好み。

充電ケース(クレードル)背面には、各種仕様と製造元、技適マークなどが記載されています。なお、充電ケースのワイヤレス充電には対応していません。まぁこちらは価格を考えると妥当な所。
ここで一つ気になったのが、製造元が「多摩電子工業株式会社」という点。これまでスリーコインズのモバイル製品は「コーリュウ株式会社」が手掛けてる事がほとんどでしたが、今回の製品は製造元を変更したようです。
「多摩電子工業株式会社」をあまり知らなかったので調べてみましたが、昭和51年創業のモバイル周辺機器メーカーで、近年は1,000〜2,000円前後で購入できるイヤホンを中心に、スマホ周辺機器を多く販売しており、コンビニ向けのスマホ周辺機器ではトップクラスのシェアを誇る老舗メーカーとの事。
同社の製品は価格の割に音質はなかなか良いらしく、コスパを重視するスリーコインズが製造元に選んだ理由も何となく分かる気がします。

引き続き充電ケース(クレードル)を見ていきます。備えられているポート類は、充電用のマイクロUSB端子、出力用のUSB-A端子がそれぞれ1ポート備えられています。

充電ケース(クレードル)へ充電する際には、付属のUSBケーブルを使って充電します。通常モデルである『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』もそうでしたが、未だに充電用の端子がマイクロUSBなのは個人的にかなりマイナスポイント。
USB-Cにも様々な問題点はありますが、やはり端子としては優れているのは間違いないので、こういった低価格デバイスもそろそろUSB-Cにして欲しい所です。

ユニークな機能として、この充電ケース(クレードル)からUSB-Aで出力が可能という点。USBケーブルを使ってスマートフォンと接続すると、スマートフォンの充電が可能です。
この出力機能があるために『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』では、「充電ケース」と言わずに「クレードル」と呼んでるのだと思います。
注意点としては、クレードルの電池容量は「1,200mAh」と決して多くない上に、出力が「5V/0.5A=2.5W」と低い点。参考までにiPhoneに付属していたUSB電源アダプタが「5V/1A=5W」の出力が出来ていた事を考えると、それの半分の出力しかありません。
電池容量が少ない上に、出力も低いので、モバイルバッテリー代わりになるような使い方では無く、本当に緊急用の電源としてしか使えない様な気がします。

『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』の充電ケース(クレードル)は、サイズが幅75×高さ28×奥行45mmとなっています。
一応手のひらには収まるサイズですが、持ってみた感覚でいうと少し大きいように感じました。角が丸くなっているので、小さい石鹸のような感覚です。

参考までに、家にあった通常モデル『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン(カナル型)』と大きさを比較してみましたが、特に奥行が少し大きくなっています。充電ケース(クレードル)の電池容量がそこそこ大きいので、本体サイズも大きくせざるを得なかったのかなと思います。

イヤホン本体を収納した状態で、実測78.1gでした。絶対的な重量としては別に重くは無いのですが、通常モデルの『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』は約40g、Appleの『AirPods Pro』でも約56gほどなので、それらと比較すると少し重さを感じる重量です。
引き続きイヤホン本体の方を見ていきます。

イヤホン本体の形状としては、ステム(軸)部分が長いタイプ。ただ、イヤホンとしてはイヤーピースを耳の中に入れて装着するタイプなので「カナル型」に分類されます。

ステム(軸)が長い理由は恐らくマイク。軸下部にある黒い点がマイク穴となります。一般的にはマイク穴が口の近くにある方が通話時に声が綺麗に聴こえるので、その辺りも考慮されているようです。

イヤホン本体上部の丸い部分はタッチセンサーとなっており、この部分を長押しすることによって電源のON・OFFを切り替えられます。
タッチセンサーの下にはLEDがあり、青や赤に光り状態を教えてくれる様になっています。

イヤホン本体を触っていて一つ気になったのは、イヤホン本体に「L」や「R」という表記が無い点。2つとも同時に取り出してしまうと、どっちがどっちか分からなくなります。薄くてもいいから何か目印が欲しかったなと思います。

イヤホン本体の重量は、左右両方合わせて実測で8.4g。イヤホン本体は軽く、耳につけていても負担が少ない設計となっています。
スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホンの使用レビュー
『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』の実際に使ってみて、その使用感や音質などをレビューしていきます。

装着感

実際に耳に付けてみた様子。
やはりこの手の製品はステム(軸)部分が長いと、付けている時に目立ちますね。耳からうどんっぽく見えるので、個人的にはステム(軸)部分が短い製品の方が好みです。
ただ、付け心地自体は悪くありません。「カナル型」という事もあり、外れにくい上に、遮音性が高く、音漏れも少なそうです。
操作感
イヤホン本体の丸くなっている部分がタッチセンサーとなっており、タッチセンサーにより曲再生/停止、曲送り/曲戻しなどができるようになっています。
動作・状態 | L側(左) | R側(右) |
---|---|---|
再生/停止 | 2回タッチ | |
曲送り | ― | 3回タッチ |
曲戻し | 3回タッチ | ― |
音量+ | ― | 1秒間長押し |
音量− | 1秒間長押し | ― |
通話開始/終話 | 2回タッチ | |
着信拒否 | 1秒間長押し |
全体的な操作はシンプルで分かりやすい印象。
イヤホン本体で「音量の上げ下げ」や「曲送り/戻し」など、一通りの動作が行えるのは良いですね。
音質
音質はあくまで僕個人が感じた主観にはなりますが、
通常モデルの『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』よりは音質は上。だけど絶対的な音質としては良くないと感じました。
通常モデルと比較して、音の情報量が多く、厚みが増しているような印象はあります。特に低音域は結構強く、音の重量感みたいなものは感じられます。
ただ、やはり中高音域の解像感が絶対的に足りなく、低音域だけが強調されて聴こえるので、全体的にはかなりこもったような音になります。
聴く音楽のジャンルによってはマシに聴こえるものもありますが、やはり音楽を楽しみたいという用途には正直あまり向かないかなという印象です。
しかし、それ以外の音質をあまり重視しないようなラジオやテレビ、Youtubeを見るという程度であれば十分に使えるかなと思いました。
遅延具合
対応コーデックに「AAC」があるので、遅延については少し改善されたかなと思っていたのですが、率直に言うと通常モデルの『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』と大差無いと思います。
幾つかゲームをプレイしてみましたが、遅延具合は結構気になりました。特にタイミングがシビアな「音ゲー」の様なジャンルの場合は使うのを避けておいた方が良いと思います。
接続安定性
イヤホンを付けたまま、人通りの多い駅前や商店街などを歩いてみましたが、接続は安定しており音が途切れることはありませんでした。
通常モデルである『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』は、あまり接続が安定せず人混みではプチプチと切れてあまり使い物にならなかったので、安定性という点ではかなり改善されたように感じます。
本当にAACで接続できているのか?
『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』は、"AACコーデックが使える"というのが製品のウリとなっていますが、本当にAACで接続出来ているのかを確認してみました。
iPhoneの場合、どのコーデックが使われているかを確認する方法は無いので、持っているAndroid端末である『Rakuten Mini』と接続して、確認してみます。

『Rakuten Mini』で接続後、接続済み端末の詳細を確認すると「HD オーディオ:AAC」がONになっている事が確認できましたので、iPhoneを始めとしたAACに対応している端末であれば、AACが使われているものと思われます。
スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホンの口コミ
『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』について呟いている口コミをまとめてみました。
スリコの3000円イヤホン、番組の評価見て買ってみたけど音こもりすぎwww 見た目ちゃちいし💦💦親にあげるのも申し訳ない😂スリコ最近買ったピーラー良かったけど、、🙏
— Ma. (@kimmarykjd) August 18, 2021
スリコのBluetoothイヤホン音良いって言ったの誰や!!!!!!!!
— ぴくを🧢*ʚïɞ* (@piku_first) September 14, 2021
3000円ならもっと良い音質のものあるわ!!!!!!!!
(プラントロニクス信者)
ワイヤレスは通勤用にスリコ3300円買ったけど、まぁ電車の雑音ありならこれでいいやって思った。こっこちゃんイヤホンはタッチセンサーに癖があってな
— やまたけ (@yamatakelao) September 7, 2021
iPhoneだとAirPods使ってるんだけど、ウォークマンの時の完全ワイヤレスイヤホン探してる
— s̷a̷o̷r̷i̷🏀🦈🐉🎮🦇 (@scrap_000) September 9, 2021
左右繋がってるのは左だけ取れてくる
スリコの1500円のって音質どうだろう🤔
3000円の方だったらスリコじゃなくてもいいし
まだ発売したばかりという事もあり、そこまで言及している方は多くいませんが、あまりポジティブな意見は見られませんでした。やはりスリコのワイヤレスイヤホンは「1,500円という価格でそこそこ使える」というのがヒットした理由な気がしますね。

スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホンのレビューまとめ
- スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン のイマイチな点
- 音の情報量や厚みは増したが、解像感が無く、全体的にこもっている
- 音のバランスが悪く低音域が強い
- 遅延は通常モデルと変わらず結構大きい
- (個人的に)モバイルバッテリー機能は別にいらない
- 税込3,300円とスリコにしては高い
- スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン の良い点
- 装着感は良く、耳に付けていてもズレにくい
- 接続が安定しており、音が途切れにくい
『スリーコインズ 高音質ワイヤレスイヤホン』は、大ヒットした『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』の上位モデルとして登場した完全ワイヤレスイヤホンです。
対応コーデックが「SBC/AAC」となった事によって、iPhoneユーザーであれば性能をフルに引き出すことが出来ます。
音質面では『スリーコインズ ワイヤレスイヤホン』と比較して、音の情報量や厚みは増しました。確かに従来よりは高音質と言えるかもしれませんが、音のバランスが低音に寄っている上に、中高音域の解像感があまりないので、全体としては「こもっている」と言わざるを得ません。
価格が従来の2倍となる税込3,300円となった所も気になる所。通常モデルは1,650円という破格な価格設定で完全ワイヤレスを実現したので話題となりましたが、スリーコインズで買い物をするユーザーが果たして3,000円を超える価格の商品を買うかどうかは個人的に疑問です。
また、もう少し予算を増やし5,000円程度まで出せば、IPX7の高い防水性能と、最大40時間の長時間再生、アプリによる音質調整も出来ると評判の、Anker『Soundcore Liberty Neo 2』が買えてしまうので、満足度としてはそちらの方が格段に高いと思います。
個人的には、パッケージやクレードルにコストを掛けるなら、いっそのこと音質に全振りして3,000円台で購入できる最強のワイヤレスイヤホンを目指すとか、ノイズキャンセリングを付けるとか、そういった付加価値を付けていった方が良いのではないかと思いました。